エピローグ 動き出した秒針

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「なっ!」 空気を読まずに間に割って入ってくるのは、半ニヤケの茉莉。 「う、うるさい!お前は黙ってろ!」 「うお~!兄さんにそんな事言われるなんて、ショックを隠しきれそうにない~」 「ソ~ウちゃ~ん!」 茉莉に乗じて、由奈も俺の元へやってくるが、なんだか様子がおかしい。 顔も赤いし、足元もおぼつかない。 「おい由奈、お前酒飲んだんじゃないだろな?」 忠明さんと茜さんが嗜んでいた酒の瓶を、いつの間にか蓮が握っている。 「ふわふわ~!世界がぐ~るぐ~る~!」 「おい由奈、しっかりしろ!」 大した量は飲んでいないはずだが、既に由奈は酩酊状態である。 こいつの酒の弱さはこれで理解した。 が、このまま蓮を暴走させるわけにはいかない。 「宗一君」 「ん?」 俺が蓮を止めようと動き出す直前、美風が俺の前に立ちはだかった。 顔色は赤くないので酒は飲まされていないと思われる。
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