Prologue

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日和国 西州島 コバルトブルーの海が、とある島の海原を彩っている。 日和国本土から西に約10km離れた海域に、主に漁業や農業を収入源とし、緑豊かな土地柄を利点に観光業においても賑わう人口8,000人程度の小さな島、西州島があった。 周囲およそ8km程のこの小さな島の観光業に欠かせない足となっているのが、本土と西州島を結ぶ定期フェリーと、島の中心で東西を貫くようにして整備された2,800m級と2,500m級の官民共用の二本滑走路による空路だった。 その第一滑走路に、一機の飛行機が高度を徐々に下げ着陸の体制へと入ろうとしていた。 飛行機は一度滑走路を通り過ぎ、決められたポジションを通過すると左へ旋回してUターンを行う。 【スワロー04、Check gear down,Cleared to land,This runway,Wind 285 at 3(スワロー04、ギアが降りていることを確認して下さい。滑走路への着陸を許可します。風は285度から3ノットです)】 管制塔からのギアダウンの指示に返答し、メインギア(主脚)とノーズギア(前脚)を下げる。 再び左へ旋回し、さらに速度を落とす。 地面、厳密にいえばコンクリートの滑走路が眼前に迫る。 機体の姿勢と進入角、降下率を維持しつつ、メインギアとノーズギア、主翼の後縁にあるフラップ(高揚力装置)が下げてあることをもう一度確認する。 エンジンノズルの側面に装備されているエアブレーキ(空気抵抗板)を開き、機体をゆっくりと滑走路へと導いていく。 .image=479317400.jpg
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