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【考え事をすると周りが見えなくなる癖治さないとな……】
そんな事を考えながら翔も会計を済ませコンビニを出て自転車をとめた場所まで歩いていく。
「は……?自転車がない……」
自転車をとめていたはずの場所には何もなく、周りを見回しても見当たらない。
「くそっ!盗まれた……」
【なんで俺のなんだよ……。駅前の放置自転車でも盗めよな……。てか鍵掛けてるのにあんな短時間で盗んだのかよ……。はぁ……歩いて帰るとなると20分くらいかかるな】
翔は心の中で愚痴をこぼしながら泣く泣く徒歩で帰宅する事にした。
冷たい風を頬で受けながら重い足取りで帰路を歩くこと5分。
角を曲がると先ほどの白いコートの女が歩いていた。
【あれはさっきの女か。この辺を歩いてるって事は結構家近いのか?この辺は人通りも少ないし、うしろを歩いてたら変な勘違いされそうで嫌だな。早歩きでさっさと抜かすか……】
変質者と勘違いされる事を懸念した翔は歩幅を大きくし、歩くスピードを上げる。
女と翔の距離が5メートル程まで近づいた時、後方から自転車が走る際に出る独特の車輪の音が翔の耳に届き、軽くうしろを振り返る。
すると見慣れた自転車にまたがっている男の姿が翔の目に飛び込んできた。
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