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「はい……。わかりました」
愛澤は顔を歪ませて心の底から湧き出る苦痛に耐えているかのような表情をしている。
それは当然の事だろう。
必死に働いて貯めたお金を捨てるのだから、相当な苦しみだ。
闇の中をさまよっていた愛澤にとって唯一見えた光。神の存在。
その「神の声」を信じて、惜しみながらも封筒を投げ入れた。そして指示された通りにその場を立ち去り駅の方へ戻って行った。
きっと幸せな人間には愛澤の行動が理解できないだろう。
――翔は愛澤の姿が見えなくなるとすぐさまゴミ箱に駆け寄り、大金の入った封筒を取り出して中身を確認した。
【束が3つと……】
【ははは、嘘だろ……約350万も入ってやがる】
その金は翔が1年バイトをしても稼ぐ事は出来ない大金。
それをいとも簡単に手に入れてしまった。
――これを機に翔の欲望は更に大きく強くなっていく。
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