操り人形

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【ははは、神とやらが本当にいるなら、この能力を俺に与えた事に感謝するぜ】 【さて、それよりこの後はどうしようか。面倒だしあの男は放っておくか?】 【だが、あそこまでの盲信者を逃すのは勿体ない気がする。何か役に立つかもしれないし、とりあえず俺も駅前に戻るか】 翔は愛澤を何かに利用できるかもしれないと思い、自分の手駒にするべく再び愛澤が待つ駅前まで戻る。 【あの男……、ちゃんと待ってやがるな】 【とりあえずあの男を利用するにしても、一文無しじゃ生活も出来なくて自殺し兼ねない】 【端数の50万は返してやるか。演出すれば盲信に釘を刺せるしな】 《愛澤よ……聞こえますか?》 「は、はい!」 《あなたの勇気を認めます》 《これから私が指示する場所に向かいなさい》 《そこにあなたの第一の幸福が待っています》 翔はある場所に愛澤を向かわせた。 駅から少し離れた場所で、第2の計画で使うつもりだった5階建ての空きビル。 空きビルの前には小さな公園があり、平日の昼であればそこには人がほとんどいない。 当初はその公園で愛澤に「神の声」を信じ込ませようとしていた。そして空きビルの屋上から双眼鏡で愛澤の様子を見ながら声を聞かせるという計画だった。 第2の計画が必要無くなって、その場所を使うつもりは無かったのだが、愛澤を今後も利用する事を考えた翔は、人通りの少ないその場所を再利用する事にした。 ――そして愛澤の盲信を確実なものにする為の演出を試みる。
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