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《公園のベンチに座って5分待ちなさい》
《そうすれば、あなたに小さな幸せが訪れるでしょう》
愛澤にそう告げると、翔は空きビルの中に入る。
階段を駆け上がり、屋上に到着して腕時計を見る。
ちょうど5分が経った時、愛澤以外に人がいない事を確認し、翔は屋上から約50万の札束を公園にめがけて勢いよくばらまいた。
宙を舞う約50枚の1万円札。
それを目にした愛澤は歓喜の余り涙を流していた。
愛澤にとって捨てた300万以上の金よりも、神から貰ったこの50万の方が大切に感じていたのだ。
《愛澤典弘……。これは私からの贈り物です》
《これからも私を崇拝しなさい。そうすればあなたはもっと幸せになれます》
《祈りを捧げ続けなさい。そうすれば私はまたあなたの前に現れるでしょう》
《私は神。あなたを導きます》
【――思うがままの操り人形の完成だ】
こうして神の盲信者、愛澤典弘という手駒を手に入れた翔。
――そしてすべての計画がここから始まる。
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