覚醒の序章

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「んぁ……ふぁー……」 カバのように大口を開けて欠伸をする。 「体中が痛いな……昨日走ったせいか」 疲れが取れきってない重い体を気だるそうに起こす。 その動作だけで全身の筋肉が悲鳴を上げる。 翔はその筋肉の痛みと共に昨晩の出来事を思い出した。 【昨日は帰り道だけで色々あったな…。なんかキャバ嬢と知り合いになったし……。 コンビニで見た時の印象と違って話してみたらなかなか性格良さそうだったな】 【それにしても久しぶりに全力で走ったな。俺、思ってた以上に体力落ちてたんだな。 高校の頃は今と違って運動も結構してたんだけどなぁ】 【あんなに全力で走ったのは高3の体育祭以来か。 体育祭が終わってからは運動なんてほとんど……】 【って……あれ?】 【体育祭後の高校生活が思い出せない……】 翔は必死に思い出そうとしてみるが一向に思い出せない。 【記憶が消えてる!?は?そんな事ってあるか!?】 自分の過去の記憶が消えている事に戸惑い呼吸が荒くなる。 今まで翔は特に意識して過去を振り返る事なんてしなかった。 もしかしたら無意識に過去を振り返る事を拒否していたのかもしれない。 翔は荒くなった呼吸を整え冷静になり、もう一度記憶を辿ってみる事にした。
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