過去の記憶

5/7
前へ
/652ページ
次へ
体育祭後の疲れた体でバイトに行くのはさすがに辛いと思って休みを取っていた。 「あのさ……」 久々の休みで母親と長い時間を過ごす事になったので、前々から家を出ようと思っていた事を話す事にした。 「なんだい?プレゼントでも用意してくれたのかい?どうせくれるんだったら私は物より金の方が喜ぶよ!」 一瞬何を言ってるのかわからなかったが、よく考えてみたらその日は母親の誕生日でもあった。 「いや……そうじゃなくてさ。俺、高校卒業したら家を出て自立するよ」 「家を出るだって!? じゃあ家事はどうすんのよ!」 料理や洗濯などの家事全般は小学生の頃からずっと俺がやっていた。 「それは悪いけど自分でやって欲しい」 そう言うと母親は眉間にシワを寄せて、まるで鬼のような顔に豹変していった。 「出て行くのは許さないよ! アンタが卒業したらやっと楽になれると思ってたんだから! 仕事して生活費を払って私に楽をさせなさい!今までアンタの為に頑張ってきたんだからね!!」 「頑張って来たって言うけど、それは―――」 「黙れっ!!」 今まではこう言われれば黙っていた。でも今回は違う。 いつまでも母親に縛り付けられるのは嫌だ。 絶対だった母親の言葉。 それに勇気を出して言い返した 「あんたこそ黙れよ!!」
/652ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8008人が本棚に入れています
本棚に追加