自覚

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【うっ……頭が!】 翔が思い出そうとすると脳を針で刺すような痛みが走り、まるで脳が思い出す事を拒否するような感覚に襲われた。 【何なんだ?俺は記憶喪失?】 体育祭の日から高校卒業までの記憶が無くなっている。 翔はこのあとしばらく考え込んだが脳に拒否され、これ以上考えても仕方ないと感じた。 【……思い出せないなら、思い出せないでいい。記憶が無くなるくらいだ。大した思い出なんて無いだろう】 深く考える事をやめ、再び昨日の出来事を思い出す事に意識を変えた。 【昨日のひったくりの犯人、馬鹿だよな。俺の自転車を盗んで、その足でひったくりって……計画性無さすぎだろ】 【しかも、電柱にぶつかってコケるなんて笑える。ギャグ漫画かよ】 【でもあの時なんでいきなり電柱にぶつかったんだ?不自然だったような……】 【ま、そのおかげで自転車取り返せたから、どうでもいいか】 【そういえば、お礼に名刺貰ったんだっけ】 名刺を貰った事を思い出し、机の上に乱雑に置かれた名刺を手に取る。 【名前はナミか……源氏名か? 店に来てって言ってたな。 ちょうど今日は暇だし、一度電話してみるか】 トゥルルルル…… 【女と電話するのなんて何年振りだよ……なんか緊張してきた】 トゥルルルル……ガチャ
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