8008人が本棚に入れています
本棚に追加
/652ページ
美菜はこくりと頷く。
そして2人はリビングに移動し、ソファに腰掛けた。
「朝ごはん簡単なもので良いなら何か作ろっか?」
そう口にする美菜の表情は笑顔だったが、目の下がうっすらと褐色になっていて、寝不足なのが見て取れる。
「ん、それより美菜あんまり寝てないんじゃない?」
「大丈夫だよ。2時間ぐらい寝たから」
「2時間じゃ寝た内に入らないよ。俺はこのあと用事もあるし、今からでもゆっくり寝て?」
翔は特に用事がある訳では無かったが、これは美菜に気を遣わせない為の方便だ。
「そっかぁ。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「うんうん。でもなんか色々ごめんね。せっかく仕事休んでもらったのに、ろくに話も出来なかったしさ」
「翔は私に気を遣いすぎたよっ。そんなの気にしないで?」
【美菜も結構俺に気を遣ってると思うけどなぁ】
と密かに思いながらも口には出さずに「わかった」と返事をして、翔は帰る仕度を始めた。
「――それじゃあ帰るよ。ゆっくり寝てね」
「うん。気をつけて帰ってね!バイバイ!」
少し寂しげな笑顔で手を振る美菜に背を向けて玄関を出る。
そして眩しい朝日を浴びながら翔は帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!