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「翔兄ちゃん、今日の晩御飯は何がいいかしら?」
殆ど何も入ってない小さめの冷蔵庫を覗き込みながら彩芽が尋ねる。
「何でもいいよ」
「もぉ!翔兄ちゃんみたいにそういう曖昧なことを言う旦那さんがいるから、世間の奥さんは毎日の晩御飯に頭を悩ませるのよ」
「……じゃあハンバーグ」
【別に俺らは夫婦じゃないだろ……。てか、なんで当たり前のように俺の部屋に住み着いてるんだよ……】
そう、彩芽は翔の部屋に住み着いている。既に3日目だ。
美菜のマンションに泊まった翌朝。翔がアパートに戻ると、そこには彩芽の姿があった。ドアの前に座り込んで、翔の帰宅を一晩中待っていたのだ。
散々どこにいたのか問い詰められた翔だったが、その場は何とかなだめる事が出来た。
但し条件付きで。
その彩芽が出した条件とは、翔の家に泊まらせてもらう事だった。
【1泊ぐらいなら仕方ないかと思ってたけど……、一体何日居る気だよ】
「なぁ彩芽……」
「何?翔兄ちゃん」
機嫌がいいようで、翔の呼び掛けに彩芽は笑顔で応える。
「いつまでここに居るつもり?」
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