七崎の密謀

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そんな光景を眺めていた会員達が一気にざわめき立つ。 愛澤によって取り押さえられ、拳銃も手放してしまった七崎は抵抗する気力を失ったようで、俯せの状態で力無く横たわっていた。 七崎の状態を確認した翔はすぐさま桐谷の様子を伺う。桐谷も他の会員同様に一連の動向に目を奪われて、正常な思考が働いていないのが一目瞭然でわかる表情をしていた。 【よし、今が絶好のタイミングだ!】 目を閉じて会場をイメージする翔。 《――皆さん、今の内です。先程命じた通り、背徳者を捕らえなさい》 唖然としていた会員達は“神の意志”により本来の目的を思い出す。 そしてすぐ傍に居た西城が真っ先に桐谷に詰め寄って掴み掛かる。それにつられるように周囲の人間も一斉に桐谷を取り押さえた。 桐谷は床に膝を突き、会員達により両腕を固定されて俯いている。 「神様、見ましたか!?俺が……俺が捕まえたっス!」 西城は清々しい表情で、天井を見上げながら神に訴えかけた。 【ははは!よくやったぞ西城!これで……これで桐谷も終わりだ!】 心の底から湧き出る感情が翔の表情にそのまま投影される。 勝ち誇ったように桐谷を見下ろしながら翔は再び思念を送る。 《皆さん、よくやりましたね。しかしこのままでは逃げ出そうとするかもしれません》 《紐やガムテープなどの拘束できる物であれば何でも良いので、七崎とその背徳者を拘束しなさい》 それを聞いた会員達は各々の持ち物の中から使えそうな物を持ち寄り、完全に彼らを拘束することに成功した。
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