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――さて、自己紹介をしておきましょうか。
私の名前は愛澤典弘。
年齢は44歳。
身長は169cm。
体重は63kg。
趣味は切手集めと将棋です。こうみえて将棋は結構強いんですよ。
まぁ一言で言えば何処にでも居そうな中年男です。
1年前まではそれなりに幸せな生活を送っていました。
妻と娘の3人で暮らす平凡な家庭。
安月給ながらも仕事にも満足していましたし、これといって大きな不満はありませんでした。
しかしそんな私の平凡な人生に大きな転機がやってきました。
――あれは1月の事でした。
正月ムードもおさまり、世間が慌ただしい日常に戻った頃。
私は会社の人事部に呼び出されたのです。
「明日から来なくていい」
何か大きなミスをした訳ではありません。会社の業績不振による一方的なリストラでした。
その言葉を聞いた時は目の前が真っ白になり、照らされていたこの先の人生の灯が一気に掻き消されたように思いました。
私はリストラされたことをその日の内に妻に報告しました。隠す訳にもいきませんから。
「私が支えますから、一緒に頑張りましょうアナタ」
そんな言葉を期待していました。
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