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“神の正体を教えてやるぜ”
2週間前――
11月5日に突然かかってきた電話の相手がそう言ったのです。
「はい、もしもし。愛澤です」
「あー、どうもはじめまして澤ちゃん」
通話口から聞こえてくるのは機械のような声。
テレビとかで見たことがあります。元犯罪者の方なんかが証言をする時に声を変えるアレですね。
「……あの、どちら様でしょうか?」
「俺様の名前は佐伯雄大。ハッカーをやっている者だぜ」
――発火?
声も変えてますし、この人は放火魔か何かなんでしょうか……。
「佐伯さんですか。それで……私に何の用でしょうか?」
「いあね、神信会の会長である澤ちゃんに真実を教えてやろうと思って電話したんだ」
私が神信会の会長だと知っているということは、佐伯さんは会員の方なんでしょうか?
「真実……ですか?」
「ああ、澤ちゃん達が信じている神についての話だ」
神の話?
そういう話なら大歓迎です。神を信仰することは大切ですからね。
この時点では、てっきり神の尊さや偉大さについての話だと勘違いしていました。
「親切な俺様が神の正体を教えてやるぜ。耳の穴かっぽじってよーく聞けよ?」
――神の正体?
神は神でしかないでしょうに。一体何を言っているんでしょうか、この方は。
勿体振る佐伯さん。
ちょうど自宅で耳かきをしていた私は、言葉通り耳をかっぽじって彼の言葉を待ちました。
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