愛澤の葛藤

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「神の正体は俺様だ」 端的にそう言う彼。 溜息が出ました。 神を愚弄するなんて。 文句を言おうかとも思いましたが、こういう輩には何を言っても無駄でしょう。 私は悪質な悪戯だと思い、黙って通話を切ろうとすると彼は続けました。 「――おっと、切らないで聞いてくれよ。これは冗談でも悪戯でもない。いたって真面目に言っている」 機械声なのでわかりにくいですが、急に真剣な口調になったような気がしました。 いくら相容れない考えの相手でも、真剣な意見を無下にするのは失礼ですからね。 話だけは聴くことにしました。 「ま、いくら主張しても信じてはもらえないだろうな。だから否定しようのない事実で証明してやる。俺様が神であることを」 「そうですか。ではどうぞ証明してみてください。“神の意志”を再現できれば信じますよ」 人知を超えた“神の意志” もしそれを本当に再現出来たならば私は彼の言葉を信じてしまうでしょう。 ――まあ、どうせ無理でしょうけどね。 そんな風に思いながら、半信半疑どころか“無信全疑”で私はそう提案しました。
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