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「ああ悪かったな。今のは確かに偽物だし俺様が神っていうのも嘘だ」
彼は先ほど冗談でも悪戯でもないと言ったばかりなのに嘘だと断言しました。
確かに冗談でも悪戯でもなく“嘘”ですが――ふざけないでほしいものです。
私が1人で憤りを感じていると、彼は続けて口を開きました。
「――でもな、電話だけでここまで再現できるんだ。もっとちゃんとした環境なら極めて本物に近い“神の意志”を再現できると思うぜ」
私の怒りを軽くあしらうように彼はそう言い放ちました。
だから?
彼は何が言いたいんでしょうか。
私は頭に浮かんだままの言葉を彼に伝えました。
「――要するに澤ちゃん達が信じている神は生身の人間が演じているってことだ」
生身の人間が演じている?
今まで私や会員達は騙されていたってことですか?
それこそ――
「嘘です!嘘に決まっています!」
「まぁそう簡単には信じないだろうな。だから俺様が当ててやる。明日の集会で神……いや、ただの人間であるXが“神の意志”で発言する内容をな」
……もしも。
もしも明日の“神の意志”の内容を彼が知っていたなら確かに神は神でなく、ただの人間ということになるのかもしれません。でも……
――有り得ない。
そう思いながらも私は彼の言葉を無視することが出来ませんでした。
「明日、Xが実行する“神の意志”の内容は――」
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