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ある会員を“捕らえろ”もしくは“殺せ”
――これが明日の“神の意志”の内容らしいです。
「もしくはって何です?どっちなのかハッキリ言えないんですか?」
単純明快な疑問です。自信満々な口ぶりのくせに、随分曖昧な予想ですからね。
「――それは当然だろ。俺様はXでも無ければ神でも無いんだぜ?いくら俺様がテンサイだからって完璧にXの思考を読むなんてムリ」
それはそうかもしれませんが……なんだか附に落ちませんね。
私はいまいち納得が出来ませんでした。
しかし彼の言葉にいちいち反応している時点で私は既に“無信全疑”では無くなっていたのかもしれません。
何と言うか彼の言葉には力がある。催眠術にでもかかったように耳を傾けてしまうんです。
「――何か納得してないみたいだから訊くけどさ、仮に本物の神が居るなら今の俺様と澤ちゃんの会話は神に聴かれていることになるよな?」
「……そうですね」
神は全てをお見通しですからね。もちろんこの会話も把握なさっているでしょう。
「だとしたら俺様の予想は確実に外れることになるよな?」
「……ええ、そうですね」
「じゃあ逆に“神の意志”の内容が俺様の予想通りであれば?」
「全てを見通すはずの神が私達の会話を把握できていない。つまりただの人間が神を演じている……と言いたいんですね」
「そういうことだ」
はぐらされたような気もしますが、彼の言っていることは間違ってはいない。
とにかく全ては明日になればわかることです……。
私が信じてきた神が本物の神であると証明されるはず。
いえ……“はず”ではありませんでしたね。
必ず証明され“ます”!
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