8008人が本棚に入れています
本棚に追加
私の瞳に映ったのは拳銃を天に突き付けた七崎君の姿。
拳銃を手にしている人物が目の前に居るというのに私は凄く冷静で、状況を把握しようと必死に頭を働かせていました。
この状況は一体どういうことなのでしょうか?
今の私と違って七崎君は純粋に神を信じているはずです。
それなのに“神の意志”に背くような彼の行動。
もしかして――
七崎君も私と同じように佐伯さんに何か言われたのでしょうか?
――あ、まさか。
そこで私の中である疑惑が浮かびました。
あの背徳者は佐伯さんなのでは?
そうだとしたら話の筋が通るような気がします。
仮に佐伯さんが背徳者で、神から警告を受けていたとしたら。例えば“明日までに悔い改めなさい。そうしなければ貴方には罰を与えます”などと。
それなら佐伯さんが今日の“神の意志”の内容を予想することは可能。
そして神は佐伯さんに“神の意志”の内容を予想されていることを知りながら、敢えて内容を変えなかった。私の信仰心を最後まで信じて。
――だとしたら、私はとんでもない過ちを……。
そうこう考えている内に、七崎君は逃げ出そうとしている会員達に元の位置に戻るようにと促していました。
そして次の瞬間――
最初のコメントを投稿しよう!