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《愛澤典弘よ。聴こえますか?今は貴方だけに語りかけています。声は出さずに静かに聴いてください》
突然、“神の意志”が聴こえてきました。
しかも私以外には聴こえていないらしいです。
やっぱりこんな事はトリックなんかじゃ説明出来ませんよね。
神はやはり神でした。
おお、神よ……。
疑ってしまって本当に申し訳ありません。一生をかけてこの罪を償わさせてください。
神はこんな私を咎めることなく、使命を与えてくださいました。
神が言うには七崎君は背徳者の仲間だそうです。
そして好田さんと協力して彼から拳銃を奪うことが私に与えられた使命。
それにしてもとても残念です。
七崎君はあんなに良くやってくれていたのに……。
そんな憂いを感じながらも、大切な使命を遂行するべく私は、隣で脅えている好田さんに耳打ちをしました。
「……好田さん。声を出さずに聴いてください。たった今、神から使命を頂きました。その使命とは貴女と協力して七崎君から拳銃を奪うことです」
私の話を聴いて、脅えていたはずの好田さんの表情がみるみる変化していきました。どうやら心を決めたようです。
その様子に安心した私は更に続けました。
「私が背後から彼に体当たりをします。恐らく彼は転げるでしょう。転げた彼を私が押さえ付けるので、その隙に貴女は拳銃を奪ってください」
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