愛澤の葛藤

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私達が七崎君を取り押さえたことで、背徳者も周囲に居た会員達によりあっけなく捕まりました。 《――皆さんお疲れ様です。背徳者達は例の倉庫に連れていきなさい。彼らの監視は愛澤に任せます》 皮肉にも佐伯さんの言った通り、背徳者達の面倒は私がみることになりました。 神は私と佐伯さんのやり取りを知っているはずですよね? それでも監視を私に任せるということは、信仰心を試されているのでしょうか? 何にしても任された以上はきっちりとやり遂げたいと思います。 そうして色々とゴタゴタした集会は終了しました。 その後、七崎君と背徳者をいつもの倉庫に連れて行き、逃げられないように拘束をより強固なものにしました。 目や口にはガムテープを何重にも巻き、両手は後ろ手にしてロープでしっかり固定します。両足も同様です。 芋虫のように寝そべる彼らの姿に哀れみを覚えました。 何とも可哀相な姿です。ここまでする必要があるんでしょうか……。 そんなことを考えながら、再び神の指示を思い返しました。 《愛澤よ。貴方は彼らと時間を共にし、睡眠時以外は極力彼らの監視を続けなさい》 《最も重要なのは彼らを精神的に追い詰めて他に仲間が居るかどうかを訊き出すことです。尋問は日に1回、22時に行いなさい。彼らの証言の真偽は私が判断しますので指示があるまでは毎日続けなさい》 《彼らに与えて良いのは水だけです。それ以外のものを与えてはいけません。そして尋問と水を与える時を除いて彼らへの接触を禁じます。会話はもちろんのこと、近付くこと自体禁止です》
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