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「おい、緊急特番だ!すぐに映像を切り替えろ!」
――某テレビ局内にて。
異様な声が全国各地で聴こえる。こんな異常事態は各マスメディアにとって恰好のネタになる。
それ故、テレビ局内は騒然としていた。
「――この時間は全ての予定を変更して緊急生放送をお送りしております」
キャスターが慌ただしく資料を受けながらそれらを読み上げる。
「えー、突如聴こえた不思議な声は全国各地で確認されており、その声の影響で事故や怪我などの報告も多数入ってきております。現在具体的な数字を確認しておりますが――」
《――我は神。貴様ら人間を超越せし存在。我を崇めよ。我を敬え》
「ま、また不思議な声が聴こえました!えーっと……評論家の吉岡さん。この声は一体何なのでしょうか?」
堅いスーツを着こなした頭でっかちで口だけ達者な評論家が口を開く。
「んー、これはですね……恐らく手の込んだ悪戯でしょうね」
小馬鹿にした口振りで言い放つ評論家。
「手の込んだ悪戯ですか……。しかし全国各地で不思議な声が観測されていますが、それはどのように説明できますか?」
「それはですね……えー……何らかの方法で……えー……」
結局、明確な答えを言えないまま評論家は黙り込んでしまった。
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