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“日本国民全てを駒にする”
まさに神にでもなったかのような計画。
それは神信会を創った時とは比にならないくらい大胆なものだった。
では慎重な翔がどうしてそのような大胆な行動に出たのか。
自分を疑う者――特に桐谷を始末することが出来て安心したから、というのも要因の1つだろう。
更に言えば、強敵だと思えた桐谷ですら自分を捕まえることが出来なかった事実が、翔に自信を与えたのだ。
“神の意志”にも翔の自信が顕著に表れている。神信会の時は優しい女神のような声だったのに対して、今回は仰々しく傲慢な男の声に変わっている。
「――それにしても成功するなんて思ってなかったな。この感じだと地球規模でもいけるんじゃないか?」
引き続きモニターを眺めながら翔は呟く。
その言葉は思念の範囲についてを指している。
今回の計画にあたるまでは、複数人に思念を送る際、周囲の景色をある程度把握し、円形をイメージして発信していた。
しかしそれでは今回のように日本全国に思念を送ることは出来ない。視認できる範囲の景色までしか発信できないからだ。
そこで翔は別の視点を考えてみた。それはまさに神の視点。つまり上空から見た景色だ。
日本の形と言われれば小学生でもイメージできるだろう。まさにそんな日本地図をイメージするような感覚で思念を発信し、それが成功したのだ。
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