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「どーだ?これで俺の超能力を完全に信じたか?」
ここまで全ての事が男の思った通りに運んでいる事を見せつけられると、単純な人間なら完全に超能力だと信じる。
だが翔はある言葉に疑念を抱き、考えていた。この男が本当に超能力者なのか。否、超能力者では無いのではないかと。
翔の慎重な性格と人間観察に長けている事、それが疑いを大きくした。
そして翔は男を試す事にした。
「はい。完全に信じました」
【いや違う。こいつは超能力者なんかじゃない!】
「そうかそうか!これだけ見せたんだから、そりゃ信じるよな!」
【思った通りの反応だ】
「ちょっとトイレ借りてもいいですか?」
トイレに行く前に携帯を含めた持ち物を没収された。警察などの外部に連絡を取られるのを防ぐ為だ。
トイレに入ると翔は大きく息を吐き、頭を整理した。
【仮に男が超能力を使えるなら、さっき俺が本当に信じたかどうかを確認する為に心を読んだはずだ】
【俺は言葉とは裏腹に「こいつは超能力者じゃない」と思っていたにも関わらず、男は俺が超能力を完全に信じたと確信しているようだった】
【つまり本当は心の中なんて読めないって事】
【それに……心を読めるだけじゃなく、未来予知もできるだって?本当にそんな事ができるなら、リスクを伴うカジノの経営なんてしなくても、合法なやり方でいくらでも金を稼げるじゃないか】
【あの男の失敗は辻妻合わせの為に「未来予知ができる」なんて付け足した事だ。それが無かったら俺も騙されていたかもしれない】
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