賭けトランプ

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【よく考えてみれば、心を読んでいるように演出するのは可能だ】 【最初に男が声を掛けて来た時。恐らくあの男は俺の行動をよく観察していたんだ。普通に待ち合わせをしている人と違って、俺は相手の性別すらもわかっていなかったから誰彼構わず見回していた。だから赤いキャップの人間を探しているのが俺だと判断できたんだ。もし間違っていても人違いで済ませるしな】 【そして突然話し掛けられた俺からすれば「どうして自分だとわかったんだ?」と疑問に思うのは自然の流れ。その流れや表情を予測し観察すれば、俺がそう考えた事を予想する事は十分に可能だ。その予想に基づいて「どうして自分だとわかったのか?だろ」と俺が言葉を発する前に言う】 【そんな感じであの男は俺の表情や心理パターンを分析して、それっぽい事を言って心を読んでいるように振る舞った。もし当てられなかったり、的外れな事を言ってもいいように「常に心を読んでいる訳じゃない」と保険もかけてな】 ここまでの推測は翔の中で確信に近いものがあった。 翔は下に目線をやり険しい表情でさらに考え込む。 【だが1つ分からない。あの男はどうして俺がカジノを探していたのを知っていたんだ?あの男にメールを送ったのは俺自身だしな……。偶然なのか?偶然メールを送った相手がカジノ経営者だった?ありえないだろ……】
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