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「おい、いくら何でも長いだろ。さっさと出て来い」
男の声でようやく翔は頭の世界から帰った。トイレの中に10分もいたのだ。
「すみません、すぐ出ます」
【とにかく無事に帰るためにあの男の超能力を信じたフリをして機嫌を損ねないようにしないとな】
トイレから出た翔は、男の話を聞くためにカジノが行われている部屋を素通りし、奥の部屋に連れて行かれた。
「そういえば自己紹介はまだだったな。俺の名前は熊野 猛(クマノ タケル)だ。あんたの名前は神宮 翔だろ?」
「え、あ……はい」
【名前まで知られてるのか。どうやって調べたんだ……】
「で、神宮君。あんたはカジノを探してたはずたったな。それで今日ここに招いた訳だが。今、現金は持ってるか?」
「今は4万ぐらいしか……」
【まずい、何の対策もしてないのにカジノをさせられそうだ】
「それじゃ駄目だな。最低50万は無きゃ話にならない」
「じゃあ今日は遠慮しておきますよ。お金が出来てからという事で……」
「いやいや、神宮君。せっかく俺と出会えたんだ。これも運命だぜ。それに今日あんたは勝てるよ。未来を予知したんだ。間違いない」
熊野は口元を緩ませ、見るからに企みのある表情で言う。
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