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「やったぞ!運が良かった!」
「神宮君おめでとう。この調子で50万稼げるといいな」
熊野はそんなに上手く連勝する事は無いと思っているのか、余裕の表情で翔に祝福の言葉を贈った。
勝ち金4万を受け取り、翔の手持ちは8万になる。
「さて、次はいくら賭けるよ?もちろんギャンブラーの神宮君なら全額の8万でいくよなぁ?」
熊野はニヤニヤと口元を緩ませながら翔に尋ねる。それはまるでさっさと負けて借金しろと言わんばかりの表情。
「ええ、8万でいきます」
【全額賭けさせて、早く俺に借金させたいんだろうな。だがお前の思う通りにはならない。俺は確実に勝つ】
翔は1戦目が終わってからも常に従業員に思念を送り続けている。自分が超能力者だと既に勘違いしているのか、従業員の目は自信に満ち溢れていた。
そして8万の賭け金で2回目のババ抜きが始まる。再び熊野がカードをシャッフルし2人に配る。
ほぼ確実に勝てる方法を有していた翔だが、その心に油断の気持ちは無い。常に不正を警戒し、熊野の手元を注意深く見ていた。
わずかな不正も見逃すまいと観察していたことで、翔は違和感を感じ取る事ができた。それはカードを配る時のほんの些細な指の動き。一見不正は無い。だが不自然な指の動きだった。
全てのカードが配り終わり、翔はすぐさまカードを手に取り目を凝らして確認する。
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