賭けトランプ

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「僕はすぐ表情に出るものですから、どっちがジョーカーなのかバレてしまいそうです。なので僕から見えない位置でオーナーがシャッフルして貰えませんか?僕自身がジョーカーの位置を知らなければ、表情に出る事もありませんしね。それで神宮さんには伏せたままのカードを引いてもらうと言う事で……ダメでしょうか?」 【な……!?俺がわざと思念を送っているのがバレたのか!?】 【とにかくこれはマズイ!そんな事をされたら完全に運の勝負になってしまう……】 「ああ、いいぜ。神宮君、あんたもそれでいいよな?」 【ダメだと言う理由が見つからない……】 「あ……はい、いいですよ」 断る理由も見つからず、翔はその提案に従わざるを得なくなった。そして熊野が従業員の手札2枚をシャッフルして、伏せたままの状態でテーブルの上に並べられた。 【くそ……どっちだ?ここからじゃジョーカーに付いた傷なんて見えないし……。完全に運で勝負するしかないのか?】 【まぁ、もし外してもその時点で負けになる訳じゃない。それに従業員の様子を見た感じだと、俺がわざと思念を送っている事に気付いた訳ではなさそうだ】 【つまりこれは単なる気まぐれの提案だろう。なら最終手段を使えば、ここで俺がジョーカーを引いてしまったとしても、相手の番でジョーカーを引かせる事はできる。ここは自分の運に任せてみるか】 翔は自分の運に賭け、勘でカードを引く。そしてそのカードを裏返して絵柄を確認した。
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