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「この勝負は無効、とかは無しですよ。さあ引いてください」
【ははは……。自分でも信じられない。今日は本当にツイてるぞ!】
「ああ!わかってるよ!!」
熊野は自棄(やけ)になりながらカードを引いた。翔の手札は2枚、熊野が3枚になる。そして翔がカードを引く番。
ジョーカーを引く確率は3分の1だ。引かない確率の方が高い。これさえ凌げばその瞬間、翔の勝ちになる。
【ここは運任せに引くしかないよな?普通に引いてもジョーカーを引かない確率の方が高いんだから大丈夫だよな……。都合良くジョーカーを避ける方法なんて――――】
【あるかも】
翔は一見運に頼るしか無いこの場面で閃いた。人間の欲を利用してジョーカーを避ける方法を。
【確実じゃない……けどやってみる価値はある】
《ここで負けたら100万の借金。それは何としても避けたいなぁ》
《あー、熊野さんの後ろに立ってる従業員さんならジョーカーの位置が見えるんだろうなぁ》
《従業員さんが教えてくれたらいいのに》
《後ろにいるんだから指で合図とかしても熊野さんにバレる事も無いし、もし教えてくれたら後でこっそり今日の勝ち分を全部あげるのになぁ》
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