賭けトランプ

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翔は従業員に向かって思念を送った。従業員は4回のゲームで自分には人の心が読めると勘違いしている。だからこれが翔の企みだとは思いもしない。そして欲に駆られた従業員はまんまと翔の企みにはまる。 翔は目線を熊野の方に固定しながら従業員の手の動きに注目する。 すると従業員は頭を掻く仕草をしながら人差し指だけが翔から見て左の方向を指していた。 【うわ……。アイツ本当に馬鹿だな。こんなに思い通りにいくとは】 ジョーカーの位置を把握した翔は遠慮なく熊野の手札3枚の中から右のカードを引いた。 そして熊野が最後の1枚を引き、5回目の勝負は翔の勝ちで終了した。 「やったぞ!上がりだっ!!」 「がぁぁぁ!!クソッ!?あんたどんだけ強運なんだ!?」 「自分でもびっくりですよ。それより約束の情報源を教えてくださいよ」 「まぁ待てよ。とりあえず勝ち金だ。ほらよ」 熊野は24万の札束を翔に手渡す。これで翔の持ち金は48万。 そして熊野は再びタバコに火を付け、煙をふーっと吐き出して一息付いてから語り始めた。
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