賭けトランプ

32/36
前へ
/652ページ
次へ
「よし、これできっちり約束は守ったぜ!あんたの資金は48万になったんだったな。2万足りないが、それくらいはまぁいいだろ。さぁカジノで遊んで行くだろ?」 【もう美菜に思念を送ってから30分以上は経ってるが警察が来る様子は無い。これ以上時間を稼いでも無意味だな。そろそろここから脱出するか】 「熊野さん。騙してすみません」 「あ?騙すって何の事だ?」 「実は俺、警察なんですよ。いわゆる潜入捜査ってやつです」 「な!?警察だと!?そんなハズねぇ!俺はあんたの情報を買ってるんだぞ!?」 「ええ、それも全部警察が張った罠。嘘の情報です」 翔はこの時からある音をイメージした。更にその音をこのマンションの一室にいる全員に伝える為に自分を中心とした半径15メートルほどの円をイメージする。 最初はその音の音量を限りなく小さくイメージし、ゆっくりゆっくり違和感の無いように少しずつ音量を上げていく。 「馬鹿な!!ありえねぇ!!情報を買ってるハッカーとは5年以上の付き合いだ!そんな簡単に裏切る訳が――」 「熊野さん自身が言ってたじゃないですか。俺の情報だけは普通の客より細かく調べてたって。それを不思議に思いませんか?そう、それはハッカーを装った警察があなたに流した嘘の情報だからです」 「た……確かにいつもと違って不自然だったような」 翔は偶然を利用した。翔自身も何故自分の情報だけが他の客より細かく調べられているのか分からなかったが、熊野が言ったその言葉を上手く利用し、疑惑を植え付け、より自分が警察であるという事に真実味を持たせたのだ。
/652ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8008人が本棚に入れています
本棚に追加