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いつもであれば、いくら美人な女であろうと他人の事に無関心な翔だが、このときだけは何故だかその女の事が気になった。
女の容姿は見るからにキャバ嬢という感じで、濃いアイメイク、付けまつげ、髪は明るめのロングで巻いている。
白いロングコートを羽織っていて、コートの下には淡いピンクのドレスが見え隠れしている。
「30円のお返しです。ありがとうございました」
女は会計を済ませて高そうなブランド物の鞄に財布をしまい、出口に向かう。
そんな女の後ろ姿を翔は口を半開きにしながら眺める。
「お客様、次どうぞ」
「…………」
「あの……お客様?」
「あ……すみません」
何故あの女の事が気になったのか自分でもよくわからず、その事を考えていた翔は、店員に声を掛けられている事に気付かず、レジの前で立ち尽くしていたのだ。
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