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《私の声が聞こえますか?》
男は突然聞こえた声に驚き、首を左右に振りながら周りを見回す。翔は男の様子を伺いながら続けた。
《周りを見ても私はいません》
《私は神です》
《愛澤 典弘(アイザワ ノリヒロ)、あなたは選ばれました》
《私は神。あなたを導きます》
「う、うわーっ!!何なんだぁっ!?」
それは翔にとっても予想外。
15メートルほど離れた位置にいた翔にもハッキリと聞こえる声で愛澤が叫んだ。
【こんな人通りの激しい所で叫びやがった!?とにかく落ち着かせないと!】
《落ち着いてください》
《周りの人々には私の声は聞こえていません》
《神である私に選ばれたあなただけが聞こえいるのです》
《……私は神。私の声に耳を傾けてください》
その優しく落ち着いた声に安心したのか愛澤は徐々に落ち着きを取り戻し、大人しくなった。
翔は胸を撫で下ろしながら話を続ける。
《あなたは43年間の人生を真面目に生きてきました》
《こつこつと努力し、汗水流して会社の為に働いてきました》
《そんなあなたが会社から見放され、今路頭に迷っています》
《真面目に生きてきたあなたを私は救いたいと思いました》
《私を受け入れなさい。そうすればあなたは幸せになれるでしょう》
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