操り人形

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《愛澤よ。あなたは私の意志を受け入れ、それに従う勇気はありますか?》 「はい、女神様。あなたの意志を受け入れます」 《では、あなたが持っているお金。その全てを捨てる事ができますか?》 「え?お金を捨てるんですか?それは何故ですか……?」 《幸せになる為には、1度全てをリセットする必要があります》 《お金を捨て、欲を捨て、綺麗になりなさい》 《その勇気があれば私はあなたを幸せに導きます》 「わ、わかりました。この場で捨てれば良いですか?」 《あなたが所有しているお金。それが全てでは無いでしょう?》 「ぎ、銀行に預けているお金もですか!?」 《安心しなさい。それを捨てたからと言って、全てが終わる訳ではありません》 《そこからあなたは幸せになっていくのです》 「わ、わかりました。でも……今は人と待ち合わせをしているので後でも良いですか?」 《気にする事はありません。今日その待ち人はここには来ないでしょう》 「そ、そうなんですか。じゃあ今から銀行に行ってきます」 そう呟いた愛澤はその足で銀行に向かった。翔は一定の間隔をあけて気付かれないように注意しながら愛澤のあとを着いていく。 ――そして、愛澤は銀行に預けていた全ての預金を引き出した。 【あの封筒の厚みだと、相当な額が入ってるな……。あんな大金を本当にあいつは捨てるのか!?】 「女神様……。これが全財産です。何処に捨てれば良いですか……?」 《近くにあるゴミ箱で構いません。お金を捨てた後は、すぐにその場を立ち去り、元いた場所まで戻って次に私の声が聞こえるまで待機していなさい》
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