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終業のチャイムが鳴り、教室からはぞくぞくとクラスメートが出て行った。
「………ちーん」
「耿介様?帰りますわよ?」
「耿介?ほら、沙裕美ちゃんも待ってるし……」
「むにゃ……帰りましょう……」
「奈々すわぁ~ん」
オレの机にいつもの面子が集まった。拳は終業のチャイムが鳴るなりすぐに出て行ったのを、もう半分しか開かない目で確認している。
「そう……だな………」
とりあえず祥吾を座ったまま蹴って(祥吾はそのまま教室外でフェードアウト)、返事をして立ち上が………
「耿介?」
れない。
「……もう…ダメだ………」
あぁぁぁ………こんな精神的ダメージが強いだなんて……。
「ダメ……?」
香がコテンと首を傾げた。まぁ香は話し合いの後半寝てたしな。
「あの事なら……いいではありませんの。耿介様ならどんなものでも似合いますわ!」
と何故か胸を張る雅にオレは半眼で睨みつけ言った。
「てめぇが……!!……あぁもういいや……もう遅い……」
決まってしまった事なのだから。今更猛反対したって無駄だし。
「それにしても……耿介がねぇ……」
朱音がヤケにキラキラした目でオレを見つめてくる。
「………女装」
「ぎぁぁぁあ!止めてくれ!!せっかく考えるのも口に出すのも止してたのに…!!なんでお前はそう空気が読めないんだ!!」
「…………」
そう言うと雅は少し口元を上げて、すぐ目尻を下げる。
「怖いですわ~耿介様」
「………」
くっ……こいつメチャクチャむかつく。元はこいつのせいなのに!
「まぁ……別にいいじゃない。クラスもそれで一致団結するようなもんだし、結構評判になるかもよ?」
と笑いを含む朱音。
「………人事だな……。確かにオレの女装にみんなが協力するってのは一致団結と言えんわけではないんだが………」
何しろ事が事だけに嫌すぎる……!!
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