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「あのね………」
笑いが漏れて口が軽くなったのか、何やら口調が軽快になっていた。
「あぁ……」
「………お兄ちゃんを監禁して最後には殺してしまう夢」
「あぁ………」
このオレのテンションの落差、あなた方には分かるだろうか。
ていうか怖すぎなんだけど!!いやね、オレもお化けだとか幽霊だとかの耐性はあるんだけどね。さすがにこれは怖……いや、心臓が縮み上がったわ!!!
しかも、リアリティとか沙祐美言ってたよね?あるの?こんな夢みたいな事が将来あるの?それとも沙祐美あなたやろうとしているの?
「お兄ちゃん?」
「いやはや、それはまたリアリティな夢ですな」
「お兄ちゃん?声が震えているような気がしているんだけど大丈夫?」
「あぁ大丈夫さ。マイシスター」
「お兄ちゃんの精神面は大丈夫?」
「あぁ大丈夫じゃないさ。マイハニー」
「うん。大丈夫そうだね」
と嬉しそうな声を上げた沙祐美さんだった。
「お兄ちゃん……?」
「なんだ……?」
壁に手を付けて精神統一していると沙祐美が不安げな声でオレを呼んだ。
「……………っ」
先ほどと同じく言い出すのをためらっているようだったが、次は急かさずに待ってやることにする。
「…………私たちは、お兄ちゃんと私の関係はこのままなのかな?」
ボソッと沙祐美が言った。
しかし、オレは
「沙祐美?悪い、聞こえなかった。もう一度頼む」
とノックをして一言。
「………ん、やっぱり何でもないよ」
沙祐美は言葉を繰り返そうとはせず、変わりにトイレの流れる音が聞こえ、やがて笑顔の沙祐美が出てきた。
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