1・ポニーテールの刃

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「――もうすぐ、文化祭ですね。楽しみですっ」 「あっ、ああ、そうだな。でもその前にテストがあるぞ」 「問題ありません」 成績の悪くない藁科は胸を張る。 あまりにも臆することなく言うもんだから、 ちょっと楽しくなって笑ってしまった。 藁科も、つられて笑う。 「片山先生は、どんな高校生だったんですか?」 窓際の手すりにもたれ、外の景色とオレの方、交 互に見ながら、藁科が唐突に尋ねてきた。 「どんなって……目立ちもせず、落ちこぼれずに安穏と。それなりにやってたな」 「部活は?」 「帰宅部。そりゃあ熱心に取り組んでたぞ」 「ふふっ。なんで、先生になったんですか?」 藁科の質問は止まらない。 『ずっと憧れていて』――そう言えば良かったん だろうが、純粋な瞳を前に、少し、嘘を躊躇した。
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