1・ポニーテールの刃

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言ってしまった後、藁科は口元を押さえた。 多分……早く教室を出たほうがいい。 一歩、後ずさる。 「そ、そりゃあ嬉しかろうよ。でも、オレもうオッサンだしな~っ……ざ、残念」 余計な言葉が混じっていた気がして後悔する。 見たことのない表情をしている藁科……オレには、シマッタという表情をしているように思えて……。 「気にしないで下さい。…………あの、私、そろそろ帰ります。荷物手伝ってくれて、ありがとうございました」 「あっ、ああ分かった。オレも仕事溜まってたんだった」 長く留まるのは得策じゃない。真っ先に消えてしまいたいが、走ったりなんかしたら、きっといけない。だから、いつもより少し急いで出入り口へ向かった。 なのに、 「っ、待って下さいっ!!」 あともう少しでこの場をやり過ごすことが出来たのに、オレの腕は藁科に捕まった。
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