160人が本棚に入れています
本棚に追加
――今は夜の七時。
私は、……片山先生の家から強制送還中。
遡ること三十分前のこと――
「暗くならないうちに帰ろう。なっ? 藁科」
「嫌ですっ。一晩中でも看病します。この目で見届けますっ!」
「……」
「私の家なら大丈夫ですよ?」
お姉ちゃんに協力してもらって、遠くの遊園地へ泊りがけで遊びに行ってることになっている。……こんなことは困らせるだけだろうから先生には言わない。でも、言ったら一緒にいさせてくれたのかな?
「もしも、夜中にまた熱が上がってきちゃったらどうするんですか? どうせまた、ひとりでどうにかしようとするんでしょ?」
「……」
……ほら、やっぱり黙り込む。図星の証拠でしょ? 先生。
世の一人暮らしの大半はそうしてるのかもしれないけど、いつもそうやって完治させてるんだろうけど……私がいるんだから、頼ってくれてもいいのに。
頼りになんか、ならないから……? そうやって思うのは、まだ早いの?
最初のコメントを投稿しよう!