11・甘く甘く、響いていて

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「――そんなことないよ」 不動だと感じた自信をなくしそうになった私に気付いてくれて、辛いはずなのに、片山先生は頭を撫ででくれる。力加減がおかしいのは、やっぱりまだ寝ていたほうがいいからだと思う。 もう一度慰められる。 「藁科。そんなことはないから」 そんなこと言われると、バカな私はそうなんだって思ってしまう。 先生は本当にずるい人。 おぼつかない足取りで片山先生がベッドから這い出して、そのままの格好でコートを着ようとしていた。 「えっ!? 先生何してるのっ?」 「送ってく……駅」 そんなフラフラで? 片言で喋ってるしっ。 「藁科……オレは外へ出るぞ? そして、藁科を電車に押し込んでオレはもう力尽きる……本望だ」
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