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「――そんなことないよ」
不動だと感じた自信をなくしそうになった私に気付いてくれて、辛いはずなのに、片山先生は頭を撫ででくれる。力加減がおかしいのは、やっぱりまだ寝ていたほうがいいからだと思う。
もう一度慰められる。
「藁科。そんなことはないから」
そんなこと言われると、バカな私はそうなんだって思ってしまう。
先生は本当にずるい人。
おぼつかない足取りで片山先生がベッドから這い出して、そのままの格好でコートを着ようとしていた。
「えっ!? 先生何してるのっ?」
「送ってく……駅」
そんなフラフラで? 片言で喋ってるしっ。
「藁科……オレは外へ出るぞ? そして、藁科を電車に押し込んでオレはもう力尽きる……本望だ」
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