1・ポニーテールの刃

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藁科を筆頭に、オレが副担任を務めるクラスは、 良い子ばかりだ。いや、それでは語弊がある。成績がどうとかではなく、なんというか、いいやつ、と言ったほうがしっくりくるような。 だから、オレみたいのが順調にコトを進めていけるんだろう。 オレが出来てるんじゃない。 周りが、オレを教師にしてくれてるんだ。 教師になって三年目。もう、オレはあんなふうには走れない。 仕事には慣れてきたのにやることは増え、帰宅時間はどんどん遅くなっている。 教師の職が嫌いじゃあない。……けど、そんなに熱くもなれない。 担任の白鳥先生を見ていると、その有能ぶりに、 このままでいいのだろうか、でもどうすればと考える。 友人の幾人かは最近転職済みだ。オレたちの歳の、代表的な悩みのひとつなんだろう。 なんとなく、どっちつかずの日々に苛立つ。 藁科を見習い、試しにオレも職員室まで走ってみた。少しだけ感化された。晴れるもやもあるかもしれないと思ったんだ。 ……が、結果はえらい違いだった。 分かっている。翼はないことくらい。
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