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――初恋は叶わない どうだろう。 それって誰が決めたんですか? まあ、僕の場合正しかったんですけどね。 「ちーちゃん?そんなしかめっ面でどうしたの」 「……先生のアホさ加減に嫌気がさしていたところです」 「相変わらずキミはボクに容赦ないね」 彼こと、久保田稔はこの学校の非常勤校医。 いつも保健室に住み着いている、不思議な人ともいえる。 非常勤とはいえ、仮にも教員のはず。 生徒を指導する立場であるにもかかわらず、赤茶に染まった長髪に、ピアス。 ゆっるい恰好でラフ極まりない。 いつも薄っぺらい笑顔を貼り付けた先生。 「ちーちゃん?」 この人は僕のことを「ちー」と呼ぶ。 僕こと、乙幡千秋をこんな略称で呼ぶのはこの人くらいのもの。 ま、そもそもこの人以外に馴れ馴れしく接してくる人間が少ないんだから比較のしようがないんだけど。 「ところで今日はなんで呼び出したんですか?用もなく呼び出したわけじゃないでしょう?」 「なんでそう捻くれた解釈するかな。恋人に会うのに理由が必要って聞こえるよ」 「残念ながら僕は先生の恋人になるとは言っていませんけど」 「あらら、それは残念」
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