331人が本棚に入れています
本棚に追加
/489ページ
「あれ、乙幡来てたんだ」
「ええ。この人に雑用を頼まれて」
「酷いなぁ、ちょっと会いたかったから呼び出しただけじゃないか」
「知ってます?そういうの、職権乱用って言うんですよ?」
それに、貴方は教師である前に校医なんですから。
それらしいことしておいてくださいよ。
「あ、乙幡。今度の役員会なんだけど」
「そういえばもうじき定例会の時期でしたっけ」
「そーそー」
彼は岡安優雅、黒髪と紫暗の猫目が印象的な彼は、我が校の誇る風紀委員会の、次期会長サマであらせられるわけなのだが。
割と率先して彼が、風紀を乱している気もしなくはない。
……この辺りは、気にしてはいけないのでしょうね。
寮生であり、寮内の指導も彼の役目であるはずなのに、寮の管理自体は人任せにして、自分はふらふら人の家を渡り歩いているらしい。
一応学校の中では風紀を正す立場と自覚があるらしく、厳しく指導に当たっているようだが……まあ軟派な彼が、風紀を率先して乱していることに関して、誰も何も言わないので、そっとしておくに限るというやつですよ。
最初のコメントを投稿しよう!