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嫌いな人間は徹底的に嫌い、好ましくない人間は決して傍に置こうとしない。
それでも、それを悟らせない笑顔で隠し通せてしまう。
もちろん彼は、自覚してやっている。
だからタチが悪い。
無自覚でやられた方が見ていて楽なのに。
逆に久保田先生は、人付き合い人嫌いと次いで、岡安君に性格はそっくりだがそのベクトルの方向性が違う。
嫌いな人間とは、営利目的であったり立場上の関係でもない限り関わろうとはしない。
社会的立場や何らかの理由がない限り、その存在すら否認してしまいそうな勢いで嫌う。
その辺は岡安君の方が、社交的とでも言うべきか。
そういう意味で、似た者同士なふたり。
そして二人に共通して言えるのは、ある人種を毛嫌いしているというところ。
ある人種、というより〝自分に似た人柄〟とでもいうべきか。
似た者同士は惹かれあったりするもんだけど、この人たちは……どうなんだろう。
「……ってなわけで、このデータの整理を久保ちゃんに任せたいんだって」
「えー、なんで?そういうのってゆーくんの方が得意じゃない?」
「そりゃデータ処理の方なら俺でもできたけど、専門知識ってなるとさすがに無理」
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