僕という存在

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「ヴィン、どうしよう。怒りと悲しみがが収まりきらないよ。」 顔も覚えていない父。 でも家族だ。 大事な、大事な、家族なんだ。 母は泣いただろうか。 僕も泣いたのだろうか。 だから僕は飛んだのだろうか。 「復讐、するんでしょう?あなたはそこで見ていてください。私が食事する様を」 ヴィンはそう優しく微笑み、集団の方へ向かって行った。 「失礼、あなた方はここで何をしているのですか?」 背の高いヴィンが彼等を見降ろすと、見下しているように見えるのは気のせいだろうか。 「あ?」 一人の男が煙草を吸いながら振り返った。 「ちょっと、超美形じゃね?アクセも高級感漂いすぎ!私こんな人の彼女になりたいなぁ。ね、お兄さん」 女がヴィンの腕に手を絡めた瞬間、彼はそれを振り払った。 狭い路地では当然身動きが取れないわけで、女は壁に叩きつけられ、地面に突っ伏して動かなくなった。 突然の攻撃的な行動で頭に血ののぼった男数人が金属バッドを片手に立ちあがった。 だがヴィンは涼しい顔をしてコートからナイフを取り出し、彼らに向かっていった。
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