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「ソウルちゃんがね、貴方の魂が欲しいって言うの」
「魂?」
「そう、心臓と同じ、命の根源」
鈴が胸を抑える。
「それを奪われるとみ――んな死んじゃうの。動かなくなっちゃうの。つまらないでしょ?」
「つまらない、のか?」
「だってもう狩れないってことでしょう?」
彼女は笑顔でそう言う。
いやそれは笑い事じゃない。
しかし貴方仮にも看護士でしょ?なんて言える雰囲気ではなかった。
どうやらソウルという目に見えない化け物のお眼鏡にかなったらしい。
だがソウルとやらは見えないが、鈴の背後から沢山の黒い靄のようなものが見える。
一瞬“目も何もないそれと目が合った”気がした。
信じられなくて僕は一度目を擦った。
だが相変わらず靄は見える。
段々とそれは人の形をなしていく。
そしてついには長髪の黒髪を適当に結んだ緑の目の、恐ろしいほど美しい麗人が現れた。
彼の左耳の豪華なピアスが一瞬だけ輝いて見えた。
彼が、鈴の言うソウルだろうか。
彼は此方をじっと見て、不意に微笑んだ。
そんな中、その場で硬直している僕を余所に、事は進んでいく。
鈴によって、乱暴にベッドからナイフが引き抜かれる。
「見つけた。私のマスター」
それと同時に一瞬で虜にされてしまいそうな美声が彼から発せられ、身体の自由が利かなくなってしまった。
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