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「うむ、元譲は熱いな。まるで炎だ。」
「炎は炎でも冷たい炎ですよ」
筍イクとのやりとりを影で見ていた曹操。自信ありきに目を輝かす彼に華蒙(かもう)はいう。ちなみにこの華蒙、実在した人物ではない。曹操の秘書であり名も知らぬ彼をここでは華蒙という魂を吹き込もう。
「冷たい炎か」
「ええ、私はそう思わずにいられません。見るだけでは熱く触れる気すら起こさぬ気性。しかし触れてしまえば何処までも冷たく、爽やかで、血の気は多いのは確か、しかし内は冷静で、」
「まさに川のようだな」
「川…ですか」
「ああ、華蒙、きみの見解は正しい、だが俺は元譲を川のようだと思う。時には荒れ狂い全てを飲み込み、時には緩やかに流れ、人の安らぎとなる。元譲はそんな男だよ。」
うむ、と納得したような曹操に華蒙は、うん?と首を傾げる。
「夏侯惇殿は炎ではなかったのですか?」
「ん?…ああ、まあ、気にするな」
わはは、と笑う曹操に華蒙は苦い顔を作った。
「さて、華蒙、剣と鎧を持て、」
「はあ…いずこへ?」
「うむ、機が動いた、何進のところへ行く!」
「!かしこまりました」
気まぐれかはたまた本当に機が動いたのか、曹操はにやりと笑うと自室へ戻った。
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