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『あ、もう。またギター?出来たら呼ぶから降りてきてねーっ!』
既に階段を上がり終えた僕の耳に可愛い声が聴こえてきた。
新城渚(しんじょうなぎさ)。
生まれた病院から今日この日まで通う学校まで一緒のいわゆる「幼なじみ」だ。
僕の通う中学では校内1の美少女!なんて騒がれている。
多くの男が渚に恋して、渚にフラれた。
ついこの間は生徒会長の先輩。その前はジャニーズJr.にいそうな後輩。
今まで渚に告白した男共はことごとく撃沈していった。
実はというと僕、朝日恵もそんなマドンナ的存在の渚に恋をしている。
それも大分前から。
あの日した小さな「ヤクソク」を頑なに守り続けている。
人生最初のプロポーズ。と言えば聞こえはいいがあんな小さな約束、子供の頃誰でもする様な口約束を守り信じ続けつつも、今の自分にはその想いを伝える勇気がなかった。
『ふーっ。バカなんかな。俺。』
思い出した約束にバカバカしさを覚えながらも愛用のギターを手に取り掻き鳴らした。
父さんが生きていた頃教えてもらって以来、ギターは僕の生き甲斐だ。
そこら辺の同世代の人間より上手い自信もある。
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