嫉妬の果てに

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しかも、この百花さん。 彼の性癖を何となく見抜いてしまっているから、また恐ろしい。 馨ちゃん。 百花の前で変な素振りはできないね。 ……って、猫被りだからそんな事しないだろうけどさ。 「まぁね。俺も薄々身の危険は感じてるんだけどさ。馨ちゃん、自分でもゲイだって言ってたし。それにしても良くわかったね。馨ちゃんがゲイだって。俺、そこら辺の事は百花には何も言ってなかったよね?」 「んー……女の勘てやつ?」 女の勘ねぇ……。 「へぇ。でも、俺と馨ちゃんの関係に嫉妬した百花に、無理矢理抱かれるって言うのも案外悪くないかも……ね?」 と、半分冗談めかした俺の言葉に、百花の瞳が何故かキラリと光って。 「もしそうなったら、私も葵のシャツ破いちゃっても良いの?」 え? 百花にとって大事なのは、俺のシャツが破れるか破れないかなの? そんな突っ込みを心の中で入れながら、彼女の上に覆い被されば。 「良いよ~。ほら……その時の予行練習しとく? って、もう服は脱いじゃってるけどね」 クスリと笑ってその唇に触れる寸前。 「予行練習はしたいけど……やっぱり葵が松木さんとシちゃうのはヤだ」 またしても一枚上手を行く百花の発言に、俺はもう苦く笑うしかなくて。 「そんなの……俺だってヤに決まってるじゃない。俺がシたいのは、百花だけなんだからさ」 そっと口付けた唇を、ゆっくりと彼女の胸元に移動させていく。 その唇がくすぐったいと言って笑う百花の声音が、甘い吐息に変わるまで……。 あともう少し、時間が必要になりそうだ。 end.
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