~ 1話 ~

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授業が終わり、アヤはまた急いで教科書を机に仕舞い、席を立とうとした。 が、それは叶わなかった。 いきなり、後ろから制服を掴まれて、引っ張られた勢いのまま、また椅子に腰を落とす。 「何しやがる!」 制服を掴まれたままだから、振り向くこともできない。 「また逃げる気やろ」 耳元に寄せられた不良少年の顔。 アヤは横目に彼を睨むことしかできない。 「お前、なんでこの高校に来たん? それも、この時期にや」 確かに、みな気になっているのだろう。 休み時間なのに、クラスメイトは会話ひとつしない。 アヤ達の会話に、聴き入っていたのだ。 ふいに、アヤの体が自由になる。 制服を掴まれていた手が、東によって解放されたのだ。 「小田。イジメたらダメだろう?」 やんわりと、東が窘める。 小田と呼ばれた不良少年は、不満そうに東にガンを飛ばした。 「イジメとちゃうわ。仲良くしたろーと思って、話してるだけやん」
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