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授業が終わり、アヤはまた急いで教科書を机に仕舞い、席を立とうとした。
が、それは叶わなかった。
いきなり、後ろから制服を掴まれて、引っ張られた勢いのまま、また椅子に腰を落とす。
「何しやがる!」
制服を掴まれたままだから、振り向くこともできない。
「また逃げる気やろ」
耳元に寄せられた不良少年の顔。
アヤは横目に彼を睨むことしかできない。
「お前、なんでこの高校に来たん? それも、この時期にや」
確かに、みな気になっているのだろう。
休み時間なのに、クラスメイトは会話ひとつしない。
アヤ達の会話に、聴き入っていたのだ。
ふいに、アヤの体が自由になる。
制服を掴まれていた手が、東によって解放されたのだ。
「小田。イジメたらダメだろう?」
やんわりと、東が窘める。
小田と呼ばれた不良少年は、不満そうに東にガンを飛ばした。
「イジメとちゃうわ。仲良くしたろーと思って、話してるだけやん」
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