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新しい日常が明ける。
さくらの荘と書かれた看板を見上げながら俺は呟いた。
「高校でこそ、彼女とか作れたらいいな」
姉貴も居ないわけだしと心の中で付けたしながら、去年までの中学時代を思い返していた。
あの野郎のせいで、シスコン等と言われ続けろくに友達も作れず寂しい中学時代を過ごしたものだ。
だけど、ここは違う。
身内が誰も居ないのは心細いけれど、それ以上に高校生活が楽しみでならなかった。
すると、さくらの荘の入り口から誰かが出てきた。入り口に立ち尽くしていたので不審がられたか?
「あ、あなたが今日からここに住む予定の新田 春真さんですかー?私はお世話させてもらう寮母の真世 さくらです」
ゆっくりながら丁寧に話すさくらさんに俺の心は一瞬で奪われていた。見た目は幼く見え、しゃべり方もおっとりしていて自分より年下のような印象を受ける。
可愛い人だな。
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